【奇形の原因と予防】

世界中でアザラシ肢症児を産んだ大薬禍

サリドマイド禍とは?

1950年代後半から1960年代前半に起きた歴史的な薬害事故。

 

サリドマイドという薬を服用した女性から手足に重大な先天障害がある赤ちゃんが生まれるケースが世界中で発生。

 

手足がない、または腕や足首がほとんどなくて手先や足先が胴体に直接ついているに近い状態。

 

この症状はアザラシ肢症と呼ばれました。

 

サイドマイドとはどんな薬?

1957年に西ドイツ(当時)のグリュネンタール社が開発・発売した鎮静薬。

 

不眠症や神経性胃炎の薬、つわりを緩和する薬に使われ、妊婦に使用が拡大。

 

海外での商品名は「コルテンガン」。

 

日本での商品名は睡眠薬「イソミン」、胃腸薬「プロバンM」など。

 

世界中で奇形児が生まれたため、催奇性が指摘され、販売中止になった。

 

その後、ハンセン病(らい病)の難治性皮膚炎や骨髄がんへの効能が発見され、そういう用途では再び使われている。

 

各国の副作用被害者数

  • 西ドイツ: 3,049人
  • 日本:    309人
  • アメリカ: 治験段階で数名のみ。認可されなかった。
  • イギリス:   456人
  • カナダ:    115人
  • スウェーデン: 107人
  • 台湾:     38人

 

催奇性の機序(奇形が発生するしくみ)

サリドマイドはプロテアーゼの1種、ユビキチンリガーゼの働きを阻害する。

 

これにより、手足の成長を促すたんぱく質FGF8が阻害されてアザラシ肢症となる。

 

プロテアーゼとは、タンパク質・ペプチド加水分解酵素。

 

この機序は、2010年に東京工業大学の半田宏教授と東北大学の小椋利彦教授によって発見されました。